人間考察

後集041-060

後集044 足るを知れば、穏やかな幸せがやって来る

起 原文 我不希栄 何憂乎利禄之香餌我不競進 何畏乎仕官之危機 我栄を希はざれば、何ぞ利祿の香餌を憂へん我進を競はずんば、何ぞ仕官の危機を畏れん 承 意訳 繁栄を望むことをやめれば、高報酬の誘惑には心動かされることはない 昇進を競うことをや...
後集041-060

後集043 自分を含めたいろいろな事象を広い視野で観察する

起 原文 竹籬下 忽聞犬吠鶏鳴 恍似雲中世界芸窓中 雅聴蝉吟鴉噪 方知静裡乾坤 竹籬の下、忽ち犬吠え鶏鳴くを聞けば、恍として雲中の世界に似たり芸窓の内、雅に蝉吟き鴉噪ぐを聴けば、方に静裡の乾坤を知る 竹籬(ちくり)、竹垣;芸窓(げいそう)、...
後集041-060

後集042 心も身体も余裕を持つように

起 原文 此身常放在閒処 栄辱得失 誰能差遺我此心常安在静中 是非利害 誰能瞞昧我 此の身 常に閒処に放在せば、栄辱得失 誰か能く我を差遺せん此の心 常に静中に安在せば、是非利害 誰か能く我を瞞昧せん 差遺(さけん)、公の使者として派遣する...
後集021-040

後集040 シンプルに本質を表現すると、美しく光り輝く

起 原文 袞冕行中 着一藜杖的山人 便増一段髙風漁樵路上 著一袞衣的朝士 転添許多俗氣固知濃不勝淡 俗不如雅也 袞冕の行中に、一の藜杖的の山人を着くれば、便ち一段の高風を増す漁樵の路上に、一の袞衣の朝士を著くれば、転た許多の俗気を添う固に知...
後集021-040

後集038 心の余裕が、記憶を含めた人間の能力を左右する

起 原文 時當喧雑 則平日所記憶者 皆漫然忘去境在清寧 則夙昔所遺忘者 又恍爾現前可見静躁稍分 昏明頓異也 時、喧雑に当れば、則ち平日記憶する所の者も、皆漫然として忘れ去る境、清寧に在れば、則ち夙昔遺忘する所の者も、又恍爾として前に現わる見...
後集021-040

後集031 周囲の雑音は無視して、自分流にこだわる

起 原文 矜名 不若逃名趣練事 何如省事閒 名に矜るは、名を逃るるの趣あるに若かず事を練るは、何ぞ事を省くの閒なるに如かん 承 意訳 名声を世の中に響かせるよりは、目立たないように生活するようが風情がある 何かに練達するよりは、しなければな...
後集021-040

後集027 確固とした価値観があれば、周囲からの評価は気にならない

起 原文 隠逸林中無栄辱 道義路上無炎涼 隠逸林中に栄辱無し、道義路上に炎涼無し 承 意訳 山林の世間から離れた環境では、名誉や屈辱のような世俗のものはない 道義に沿った生き方をしていれば、人情が暖かくなったり、冷たくなったりということはな...
後集001-020

後集014 外見を気にするよりも、心の「内面」を磨く

起 原文 寒燈無焔 敝裘無温 総是播弄光景身如槁木 心似死灰 不免堕落頑空 寒灯に焔無く、敝裘に温なきは、総て是れ光景を播弄す身は槁木の如く、心は死灰に似たるは、頑空に堕落するを免れず 焔、ほのお;敝裘(へいきゅう)、破れた皮衣;光景を播弄...
後集001-020

後集003 飾るものがなくなったときに、真の姿が現れる

起 原文 鶯花茂而山濃谷艶 総是乾坤之幻境水木落而石痩崕枯 纔見天地之真吾 鴬花茂くして山濃やかに谷艶なる、総て是れ乾坤の幻境なり水木落ちて石痩崕枯れる、纔かに天地の真吾を見る 鴬花(おうか)、鶯が鳴き、花が咲いていること;乾坤(けんこん)...
前集221-225

前集225 心静かに、外部からの騒音を断ち、自分の本体を見つめる時間を持つ

起 原文 風恬浪静中 見人生之真境味淡聲希處 識心體之本然 風恬らかに浪静かなる中、人生の真境を見る味淡く声希なる処に、心体の本然を識る 承 意訳 心の中の風は安らかに、心の波も静かなるときに、人生の真の趣きが見えてきます 淡泊な味で味覚か...
前集221-225

前集224 一時の華やかさよりも、継続する地道さ

起 原文 桃李雖艶 何如松蒼栢翠之堅貞梨杏雖甘 何如橙黄橘緑之馨冽信乎 濃夭不及淡久 早秀不如晩成也 桃李は艶なりと雖も、何ぞ松蒼栢翠の堅貞なるに如かん梨杏は甘しと雖も、何ぞ橙黄橘緑の馨冽なるに如かん信なるかな、濃夭は淡久に及ばず、早秀は晩...
前集221-225

前集222 良い修行環境が立派な人材を育む

起 原文 子弟者大人之胚胎 秀才者士夫之胚胎此時 若火力不到 陶鋳不純 他日 渉世立朝 終難成個令器 子弟は大人の胚胎、秀才は士夫の胚胎なり此時、若し火力到らず、陶鋳純ならざれば、他日、世を渉り朝に立つとき、終に個の令器を成り難し 胚胎(は...
前集201-220

前集220 言葉選びは慎重に、自己確立にも注意を払う

起 原文 口乃心之門守口不密 洩盡真機意乃心之足防意不嚴 走盡邪蹊 口は乃ち心の門なり口を守ること密ならざれば、真機を洩し尽す意は乃ち心の足なり意を防ぐこと厳ならざれば、邪蹊を走り尽す 真機、心の中の機密、心根;邪蹊(じゃけい)、邪まな道、...
前集201-220

前集216 重要事項は、感情的なときはダメで、心穏やかなときに決断する

起 原文 不可乗喜而輕諾不可因酔而生嗔不可乗快而多事不可因倦而鮮終 喜びに乗じて諾を軽くすべからず酔に因りて嗔を生ずべからず快に乗じて事を多くすべからず倦に因りて終りを鮮うすべからず 嗔(いかり)、怒り・腹立ち;鮮(すくな)い、少ない、数量...
前集201-220

前集208 人物の評価は先入観なしで、事実と自分の感性で判断する

起 原文 聞悪不可就悪 恐為纔夫洩怒聞善不可急親 恐引奸人進身 悪を聞いては、就ち悪むべからず、恐らくは纔夫の怒りを洩らすを為さん善を聞いては、急に親しむべからず、恐らくは奸人の身を進むるを引かん 纔夫(ざんぶ)、しょぼい奴、小さい奴;奸人...
前集201-220

前集202 眼前のことに一喜一憂しない、人生には挑戦あるのみ

起 原文 毋憂払意 毋喜快心毋恃久安 毋憚初難 払意を憂うこと毋れ、快心を喜ぶこと毋れ久安を恃むこと毋れ、初難を憚ること毋れ 払意(ふつい)、無関心、うまく行かないこと;憚(はばか)る、気持ちが離れる 承 意訳 うまく行かなくても落ち込む必...
前集181-200

前集193 利益に走る人の害は小さく、名声に拘る人の実害は大きい

起 原文 好利者 逸出於道義之外 其害顕而淺好名者 竄入於道義之中 其害隠而深 利を好む者は、道義の外に逸出し、其の害顕れて浅し名を好む者は、道義の中に竄入し、其の害隠れて深し 承 意訳 利益を好む者は、人の道の外に出やすいので、その害は露...
前集181-200

前集190 正しいと信じて行われる行動は修正が困難

起 原文 縦欲之病可医 而執理之病難医事物之障可除 而義理之障難除 縦欲の病は医すべし、而して執理の病は医し難し事物の障は除くべし、而して義理の障は除き難し 承 意訳 欲望をほしいままにする病気は治すことができますが、理屈に執着する病は治し...
前集181-200

前集187 恵まれた環境にあるときこそ、不遇な事象への備えをする

起 原文 處冨貴之地 要知貧賤的痛癢當少壮之時 須念衰老的辛酸 富貴の地に処しては、貧賤的の痛癢を知らんことを要す少壮の時に当っては、須らく衰老的の辛酸を念うべし 痛癢(つうよう)、精神的、肉体的な苦痛 承 意訳 お金持ちのときは、貧乏なと...
前集181-200

前集183 功績を自慢 + 自分を飾る = 自分に自信がない人

起 原文 誇逞㓛業 炫燿文章 靠皆是外物做人不知心體螢然 本来不失 即無寸㓛隻字 亦自有堂堂正正做人處 功業に誇逞し、文章を炫燿するは、皆是れ外物に靠って人と做るなり知らず、心体螢然、本来を失わずんば、即ち寸功隻字無きも、亦自ら堂々正々とし...
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