起 原文
毋偏信而為奸所欺
毋自任而為氣所使
毋以己之長而形人之短
毋因己之拙而忌人之能
偏信して、奸に欺かるることなかれ
自任して、気に使わるることなかれ
己の長を以て、人の短をあらわすことなかれ
己の拙に因って、人の能を忌むことなかれ
奸(かん)、奸人、双方の真相を知りながら自己の利益のために偏った情報を流す人;自任、自分で自分を買いかぶること
承 意訳
一部の人の考えを一方的に信じて、欺かれてはいけません
自分を信じすぎて、勇み足になりすぎてはいけません
自分の長所を根拠に、他人を短所を指摘してはいけません
自分が拙いことを棚に上げて、他人の能力を忌み嫌うことはいけません
転 別視点
どんな物事にも二面性があり、2人の争いごとでどちらかだけが一方的に悪者で、逆は善そのものということはほとんどありません。利権がからむと多くの人は、我田引水の発想になります。争いごとを判断するときは両者の意見を幅広く聞き取ります。自分に対する能力も、自分自身の評価だけではうぬぼれの評価に陥ることもあります。自分を守るために、偏った判断になってしまうこともあります。
自分自身も(過去には)、素晴らしい能力を持った人を素直に褒めることはなかなかできない時期がありました。この感情は嫉妬なのかもしれません。
逆に嫉妬する対象とならない場合、例えばオリンピック選手のような自分とは異なる世界の栄誉には素直に賞賛する気持ちになれます。客観性と自己肯定が、判断を鈍らせるのかもしれません。
自分が少し年を取ると争う対象(嫉妬を感じる対象)が減り、素直に周囲を評価できるようになったように感じます。
結 まとめ
処世術の禁戒四箇条は、偏信、自己過信、優越感、嫉妬。見苦しいので、気を付けましょう。