起 原文
怨因徳彰
故使人徳我 不若徳怨之両忘
仇因恩立
故使人知恩 不若恩仇之倶泯
怨みは徳に因ってあらわる
故に人をして我れを徳とせしむるは徳怨ふたつながら忘るるに若かず
仇は恩に因って立つ
故に人をして恩を知らしむるは、恩仇のともにほろぶるに若かず
泯、亡びる
承 意訳
怨みは、徳によって生じます。一方に徳を与えると、他方で怨みが生じます。
だから徳を与えようとするよりは、徳と怨み両方とも忘れてしまった方がましです。
仇は、恩によって生じます。一方に恩を与えると、他方で仇が生じます。
だから人に恩を与えようとするよりは、恩と仇の両方を消え去るようにした方がましです。
転 別視点
怨みと徳、仇と恩、両者は表裏一体です。洪自誠さんは心の中の問題を提示したのかもしれませんが、自分に対する周囲からの評価としても同様な解釈ができます。
最近感じた具体的な例では、職場のAさんがBさんの誕生日ケーキを購入し、その代金を同じ職場の人々で割り勘にしました。お金を払った一人のCさんは、翌週の自分の誕生日は誰からも気づかれることはありませんでした。Cさんは、AさんとBさんにイライラを感じました。
結 まとめ
怨みと徳、仇と恩、善と悪など、対立する2つの要素は常に表裏一体です。両者のバランスを考慮する必要があります。