起 原文
棲守道徳者 寂寞一時
依阿權勢者 凄凉萬古
達人觀物外之物 思身後之身
寧受一時之寂寞 毋取萬古之凄凉
道徳に棲守する者は、一時に寂寞たり。
権勢に依阿する者は、万古に凄凉たり。
達人は物外のものを観、身後の身を思う。
寧ろ一時の寂寞を受くるも、万古の凄凉を取ることなかれ。
寂寞、物寂しいこと;依阿、媚びへつらって頼ること;萬古、永遠.
承 意訳
道徳を守ることを常に考え、安らかに時を過ごす人は、世の中で有名になることはなく、重要な仕事を任されることなく、一時的には(生を受けている間は)寂しい気持ちになることもあるかもしれません。
権威や権力のある人に近づく人は、仕事を任され、周囲から尊敬され、華やかに見えますが、それは一時的なもので、後世には何も残らず、死後の評価は寂しい結果になります。
世の中の道理に精通した達人は、目の前の豪華な物には関心なく、それ以外のもの(価値)、すなわち「道」に注意を向け、死後の評価を気にします。
一時的に寂しく辛い境遇になったとしてもそれは享受しましょう。長期にわたって寂しい評判となるような態度になってはいけません。
転 別視点
自分が死んだあとの評判に思いを寄せるという発想で、正しく生きることを推奨しています。重要な要素と思う一方で、今この時を楽しく生きたほうが充実した人生になるのでは、と思うこともあります。
両立するには、どうすれば良いか。落としどころはありそうですが、相反する部分があるとも感じています。どちらにより重点を置くかということです。
物欲、自己顕示欲は、際限がないので、心の豊かさを追う方が、楽しい人生になるように感じます!
結 まとめ
正しい「道」を目指すことは、自分の心の満足にも直結します。権力に諂うことなく、自分の信じた道を歩みましょう!