起 原文
問祖宗之徳澤 吾身所享者是
當念其積累之難
問子孫之福祉 吾身所貽者是
要思其傾覆之易
祖宗の徳澤を問わば、吾が身に享くる所のもの是なり
まさに其の積累の難きを念ふべし
子孫の福祉を問わば、吾が身にのこす所のもの是なり
其の傾覆の易きを思ふことを要す
祖宗(そそう)、祖は先祖、宗は中興の祖、先祖代々の君主;徳澤(とくたく)、恵み、恩沢;積累、積み重ねること;傾覆、覆ること、ひっくり返ること
承 意訳
先祖の遺された徳澤とは何かと問えば、それは現在我が身に受けている幸福が相当します
この幸福のために先祖が重ねてきた艱難辛苦を想像しなさい
子孫の幸福とは何かと問えば、まさに現在の自分が後世に遺すものです
今のうちに徳を積んでおかねば、後世の幸福はすぐにひっくり返ってしまうことを肝に銘じます
転 別視点
自分の直接の先祖、もしくは自分の直接の子孫に限定してしまうと意味がわかりにくいです。幅広い先祖と子孫を念頭に置きます。
今現在の社会情勢を作ったのは先祖の人々に違いありません。今の社会で幸福を感じたのであれば、それは先祖代々の人々に感謝しましょう。また、後世の人々のために暮らしやすい社会、暮らしやすい地球環境を守ることが現在を生きる自分たちの使命です。
原子力発電所の廃棄物処理には10万年の年月が必要といわれます。美味しい部分を自分たちの世代が満喫し、面倒なゴミの処理を後世に押し付けている自分たちの姿を想像すると、我ながら恥ずかしい気持ちになります。なんとかしないと・・・。
結 まとめ
今の幸せは先祖の努力のうえに成り立ちます。子孫の幸せは今の我々の生き方を反映します。責任重大です。