起 原文
静中静非真静
動處静得来 纔是性天之真境
樂處樂非真樂
苦中樂得来 纔見心體之真機
静中の静は真の静にあらず
動処に静を得来たって、わずかに是れ性天の真境なり
楽処の楽は真の楽にあらず
苦中に楽を得来たって、わずかに心體の真機を見る
静得来、心を静かに保って行くこと;性天、単に性と同じ。人心を一個の天地に例えて言ったもの;真境、本当の境地;真機、真正の妙用、優れた動き
承 意訳
静かな環境における「静」は本当の静とは言えません
いろいろと慌ただしい中にあって心を静かに保っていてこそ本当の真の境地に達したといえます
お気楽な環境における「楽」は本当の楽とは言えません
いろいろと逆境に苦しみながらも悠々自適に人生を楽しむことこそ本当の真の妙用を見たといえます
転 別視点
何かを実現しようとしたのであれば、その逆境にあって成し遂げてこそ偉大な業績といえるという内容にも考えられます。
一見天邪鬼のような発想にも思えますが、真の意味は逆境に苦しんでいる人に対する激励の言葉と解釈できます。
著者の洪自誠さんは、仕事上の昇任ではとても苦労したと推測されています。そのような逆境にあって、何かを成し遂げることこそが偉大なことだと、そう自分を含めた逆境にある人々を勇気づけたと考えられます。
結 まとめ
本物は、それらしい状態や環境の中では得られず、逆境の中で得られるものこそが本物です。