起 原文
清能有容 仁能善斷
明不傷察 直不過矯
是謂蜜餞不甜 海味不鹹 纔是懿徳
清にしてよく容るること有り、仁よく断を善くす
明は察を傷つけず、直にして矯に過ぎず
是を蜜餞甘からず、海味鹹ならずという、わずかに是れ懿徳なり
蜜餞(みつせん)、蜜を加えて甘味をつけた飲食物;海味(かいみ)、海産物;鹹(かん)、塩辛い;懿徳(いとく)、美しい徳
承 意訳
清廉潔白の者は人に寛容でないことが多いがいろいろな人を受け入れる必要があります。寛仁大度の者は人に優しいが重要な局面での決断をする必要があります。
聡明な者は他人の欠点に気付いてしまうが相手を傷つけないようにします。正直であっても相手をぶつかり合い過ぎてはいけません。
そのように注意すれば、蜜の入った食べ物でも甘過ぎず、海産物でも塩気が強くない、これこそが美しい徳と言えます。
転 別視点
どんなに理想的な考え方であっても「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。いくつかの例を挙げながら、中庸の道を説いています。
日本でも1600年ころは甘い食べ物が貴重でした。中国でも同じだったのでしょう。貴重な蜜はとてもとても甘い食べ物だったのでしょう。
対照的な塩味に関しては、冷蔵庫のない時代の海産物はとても塩気が強かったものと想像します。古代中国では塩っ辛いものの代表が海産物だったと考えると当時の生活が想像できて興味深いです。
結 まとめ
どんなに理想的な考え方・行動であっても「過ぎたるは及ばざるがごとし」なので、中庸を歩むことが重要です。他人に干渉するときは控えめな態度で。