起 原文
氣象要髙曠 而不可疎狂
心思要縝密 而不可瑣屑
趣味要冲淡 而不可偏枯
操守要嚴明 而不可激烈
気象は髙曠なるを要す、しかも疎狂なるべからず
心思は縝密なるを要す、しかも瑣屑なるべからず
趣味は冲淡なるを要す、しかも偏枯なるべからず
操守は厳明なるを要す、しかも激烈なるべからず
髙曠(こうこう)、高く広いこと;疎狂、世事に疎くて常規を逸すること;縝密(しんみつ)、細かにして慎み深いこと;瑣屑(きせつ)、瑣は玉のくず、屑もくず、小事に拘泥すること;冲淡(ちゅうたん)、あっさりすること
承 意訳
気持ちは常に高く広く持たねばなりませんが、世事に疎くなるようではいけません
心の働きは用意周到で緻密さが必要ですが、小さなことに拘ってはいけません
趣味はあっさりとしたものが良いですが、偏っては無味乾燥してはいけません
自分の心の中の主義主張は厳正に公明であるべきですが、その程度が激烈になってはいけません
転 別視点
広い視野で世間を眺め、緻密な準備をもって対応します。でも、そればかりに拘ってはなりません。趣味もちょっとは拘って、自我は大切にするべきですが、周囲とのバランスも重要です。過ぎたるは及ばざるが如し、と同意です。
どんなに悪い奴でも、100%悪い奴というのは見たことがありません。彼なりの理論があって、一部の善が存在したりします。逆にとても善い奴であっても、卑しい面が0ではありません。
人間は不完全なものですから、そのような不完全な面があって当たり前、不完全を楽しむような心の余裕が、自分や周囲に幸せをもたらすように考えます。
結 まとめ
善行に取り組むのは素晴らしいことですが、完璧を目的にしてはいけません。また、周囲に完璧を期待してもいけません。中庸の道が、自分と周囲に幸せをもたらします。