起 原文
地之穢者多生物 水之清者常無魚
故君子當在含垢納汚之量
不可持好潔獨行之操
地の穢れる者は多く物を生ず 水の清める者は常に魚無し
故に君子はまさに垢を含み、汚を納るるの量を存すべし
潔を好み、独り行くの操を持すべからず
操(そう)、意志を変えず、身をかたく持すること。
承 意訳
汚穢な土地にはいろいろなものを生じるし、透き通るような清い水には常に魚はいません
世の中も同じで、君子は垢を含めて汚を受け入れる度量を持つべきです
潔白を好んで、何事も独りで実行するような操守を持っていては、天涯孤独で何も生まれません
転 別視点
世の中は、綺麗ごとだけでは成り立ちません。理想論だけでは、堅苦しくてかえって生きにくくなります。田んぼや畑には、いろいろなものから作った堆肥が土地を肥えさせます。
人の世も似ていて、下町のようないろいろな人が混じった、もしくはアメリカのようないろいろな人種が混じった社会の方がパワフルでいろいろな文化が生まれます。
君子、組織を指導する立場の人は、その組織がクリエイティブになるためには、いろいろな人を受け入れる度量が必要で、あえて受け入れるべきであると考えます。
結 まとめ
潔白を好んで、何事も独りで実行するようでは組織の活気がなくなります。悪い考えの人も含めて全てを受け入れる度量が組織の指導者には必要です。