起 原文
十語九中 未必稱竒 一語不中則愆尤駢集
十謀九成 未必歸㓛 一謀不成則訾議叢興
君子所以寧黙毋躁 寧拙毋巧
十語九あたるも未ぞ必ずしも奇と称せず、一語あたらざれば則ち愆尤ならび集まる
十謀九成るも未だ必ずしも功を帰せず、一謀成らざれば則ち訾議むらがり興る
君子寧ろ黙して躁なることなく、寧ろ拙にして巧みなることなき所以なり
愆尤(けんゆう)、過ち、過失;訾議(しぎ)、人の短所をあれこれ言う,非難する
承 意訳
十言ったことのうち九つまで的中していても、褒められることはありません。でも一つ外れると過ちだという咎めが八方から集まってきます。
十の謀の中で九まで上手く行っても、誰もその成功を讃えることはありません。でも一つ失敗すると八方から非難されることがあります。
そんな訳で、君子はむしろ黙って騒ぎ立てることはせず、自分は拙劣だという態度を保ち上手振らないようにします。
転 別視点
人の上に立つもの、君子、指導者は、常に人々の目に晒されています。正しいこと、成功を収めても、それを自慢・宣伝してしまうと、一つの失敗で非難の嵐に巻き込まれます。
だからこそ、謙虚な姿勢で、成功は部下に譲り、失敗は甘んじて自責として、振る舞います。そうすれば、なにかうまく行ったときは「期待以上だねえ」と前向きな評価が得られるかもしれません。結局、周囲からの嫉妬を避けるという意味でもあります。
結 まとめ
指導者たるものは、自分の成功に対しては沈黙し、自慢してはいけません。謙虚で、心静かに振る舞います。