起 原文
燥性者火熾 遇物則焚
寡恩者氷清 逢物必殺
凝滞固執者 如死水腐木 生機已絶
倶難建㓛業而延福祉
燥性の者は火熾、物に遇えば則ち焚く
寡恩の者は氷清、物に遇えば必ず殺す
凝滞固執の者は、死水腐木の如し、生気すでに絶ゆ
ともに㓛業を建てて福祉を延べ難し
火熾(かし)、火の燃えるが如く盛んな勢い;寡恩(かおん)、恩恵を与えることが少ない人、冷酷な人
承 意訳
気性の乾いた性急な人は恰も火の盛んに燃えるようなもので、物に出会えばなんでも悉く焼き尽くしてしまう
恩恵を感じない、心が冷酷な人は、物に出会えばなんでも悉く凍えさせて殺してしまう
気質が凝り固まって頑固で融通が利かない人は、死水腐木のように、既に生気はなくなってしまっている
これら三種の人間は、何れも功績を建てて福祉(幸せ)を永遠に延べ伝えるちうことは到底できない連中です
転 別視点
穏便な言葉で人を諭す内容が多い菜根譚の中で、この段落は「こんな奴らはダメだ~」と人を非難しています。
無暗に性急な人は、周囲の落ち着きを台無しにします。恩恵を感じない人は、周囲への温情を持つことはなく、ギスギスした社会を作り出してしまいます。融通が利かない人は、相手の生気を奪ってしまう可能性があります。
いずれも一緒にはいたくないタイプの人間です。自分を振り返って反省するというよりは、こんな人とは距離を置きたいという意味に聞こえます。洪自誠さんもよっぽど嫌な思いをしたのでしょう。
結 まとめ
気性の乾いた性急な人、冷酷で温情のない人、凝り固まって融通が利かない人、これらの人は百害あって一利なしで、距離をおいて生活したい。