前集069 乾性な人、温情のない人、融通が利かない人、この三者とは距離をおく

前集061-080

起 原文

燥性者火熾 遇物則焚
寡恩者氷清 逢物必殺
凝滞固執者 如死水腐木 生機已絶
倶難建㓛業而延福祉

燥性の者は火熾、物に遇えば則ち焚く
寡恩の者は氷清、物に遇えば必ず殺す
凝滞固執の者は、死水腐木の如し、生気すでに絶ゆ
ともに㓛業を建てて福祉を延べ難し

火熾(かし)、火の燃えるが如く盛んな勢い;寡恩(かおん)、恩恵を与えることが少ない人、冷酷な人

承 意訳

気性の乾いた性急な人は恰も火の盛んに燃えるようなもので、物に出会えばなんでも悉く焼き尽くしてしまう

恩恵を感じない、心が冷酷な人は、物に出会えばなんでも悉く凍えさせて殺してしまう

気質が凝り固まって頑固で融通が利かない人は、死水腐木のように、既に生気はなくなってしまっている

これら三種の人間は、何れも功績を建てて福祉(幸せ)を永遠に延べ伝えるちうことは到底できない連中です

転 別視点

穏便な言葉で人を諭す内容が多い菜根譚の中で、この段落は「こんな奴らはダメだ~」と人を非難しています。

無暗に性急な人は、周囲の落ち着きを台無しにします。恩恵を感じない人は、周囲への温情を持つことはなく、ギスギスした社会を作り出してしまいます。融通が利かない人は、相手の生気を奪ってしまう可能性があります。

いずれも一緒にはいたくないタイプの人間です。自分を振り返って反省するというよりは、こんな人とは距離を置きたいという意味に聞こえます。洪自誠さんもよっぽど嫌な思いをしたのでしょう。

結 まとめ

気性の乾いた性急な人、冷酷で温情のない人、凝り固まって融通が利かない人、これらの人は百害あって一利なしで、距離をおいて生活したい。

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