起 原文
為悪而畏人知 悪中猶有善路
為善而急人知 善處即是悪根
悪を為して人の知るを畏るは、悪中なお善路有り
善を為して人の知るを急ぐは、善処すなわち是れ悪根なり
承 意訳
悪いことをして人にそれを知られるのを畏れる者は、悪いことを知られたくないという羞恥心があるので、悪いことをしていても一筋の善への道が残っています
善いことをして人にそれを知ってほしいと願う者は、それを誇ろうとする野心があるので、その心根には悪が潜んでいます
転 別視点
悪い行いをした”恥を知る者”には救済の道があり、善い行いをしても野心家には性根が悪い”偽善者”なので救われません。
「恥を知る」ことは、中国を含めていろいろと解説されています。公約数でまとめると、自分の行動を恥だと感じるには比較的幅広い知識が必要で、恥だと認めるには勇気が必要です。恥を知ってこそ金銭の欲を抑えられ、謙虚でいることができ、他人に対して思いやりを持って接することができます。
「人に知られることを急ぐ」ことは、結局は周囲からの承認欲求を満たすために行動することになります。つまりそこから生じる行動は全て自分のためという目的が存在します。それが悪かというと解釈は困難ですが、善とは言えません。
結 まとめ
悪事を働いても「恥じる気持ち」があれば善への道は開けています。善行を行ってもそれを誇る気持ちがあれば善とは言えません。