起 原文
人知名位為樂 不知無名無位之樂為最真
人知饑寒為憂 不知不饑不寒之憂為更甚
人名位の楽たるを知って、名無く位なきの楽の最も真たることを知らず
人飢寒の憂いたるを知って、飢えず寒えざるの憂い更に甚だしきたることを知らず
承 意訳
世の中の人は名誉や地位の有る人が極楽と考えますが、名誉も地位も無いことが実は最も極楽な生き方です
→ 名誉や地位があると守るものが多く、それを失わないようにとの気苦労が多くなります
世の中の人は飢えや凍えることが憂いの極みと考えますが、飢えも凍えることもないことが最も憂いの極みです
→ 現状が安泰であれば、落ちぶれないかと気苦労が多くなります
転 別視点
一行目はいろいろな欲を持ってしまうと際限がないので、現在あるもので楽しく生活するということに重きを置くことの重要性を説いています。
二行目は今が辛いとしてもそれ以下になる心配よりは、安泰な状態になったときに落ちぶれるときのような将来への心配(杞憂に近い意味で、無駄な心配)が人を不幸にするという指摘です。
現在のありのままを楽しむという考えにも言い換えられます。日々是好日ですね。
結 まとめ
名誉や地位はあれば心配事の種になります。飢えや凍えることなどの心配事は考えだすとキリがありません。現在をありのまま受け入れて楽しむように過ごしましょう。