起 原文
名根未抜者 縦輕千乗甘一瓢 総堕塵情
客氣未融者 雖澤四海利萬世 終為剰技
名根未だ抜けざる者は、たとえ千乗を軽んじ一瓢に甘んずるも、総て塵情に堕つ
客気未だ融けざる者は、四海を澤し萬世を利すといえども、終に剰技と為る
名根、名利を重んずる心の根源、功名心、野心;千乗、(中国周代の兵制で、大国の諸侯は兵車千台を有したところから)大国の諸侯;一瓢(いっぴょう)、酒を入れたひょうたん一つ、わずかな飲み物;塵情、世俗の情;客気、物事にはやる気持ち、競争心、仮りの元気;剰技(じょうぎ)、無用の技術、無益の技
承 意訳
名誉欲の抜けないものは、たとえ富豪の富貴を軽んじ清貧に甘んじたとしても、それは外見だけで全て俗物の状態に堕落しています
野心が全く融けて無くならないものは、たとえ徳を天下に施し、萬世に利益をもたらしたとしても、野心を満たすだけの行為で、結局は無駄な仕事になってしまいます。
転 別視点
どんなに立派な行動であってもその目的が、名誉心などの私利私欲が始まりであったならば、その結果は常に私利私欲にまみれたものになります。
逆に道徳心で始めた事業であれば、結果が今一つであってもそれは道徳にかなっていると結論できます。
目的が私利私欲であったならば周囲の人からの支持を純粋には受けることができません。もちろん、私利私欲のgive and takeならばありえます。
でも目的が道徳心からであれば周囲の人からの支持は得やすいです。成功率も道徳心からの方が高い印象です。
ただ、私利私欲の方が自分の中の動機付けが強くできる人もいるかもしれません。成功の確率は、結局は個人の心持ち次第ですね。
結 まとめ
名利を求める者は、清貧を実践しても結局は外見のみになってしまします。野心が残っている者は、世間に多くの利益をもたらしたとしてもそれは意味を成しません。