起 原文
讀書不見聖賢 為鉛槧傭
居官不愛子民 為衣冠盗
講學不尚躬行 為口頭禪
立業不思種徳 為眼前花
書を読んで聖賢を見ざれば、鉛槧の傭となる
官に居て子民を愛せざれば、衣冠の盗となる
学を講じて躬行をたっとばざれば、口頭の禅となる
業を立てて種徳を思はざれば、眼前の花となる
鉛槧(えんざん)、文筆にたずさわること;傭、雇うこと躬行(きゅうこう)躬行(きゅうこう)、自分自ら行うこと;種徳、広く徳を世に施すこと
承 意訳
書物を読んで、古の聖人賢者の精神を洞察することをしなければ、何も考えていないことと変わりません
上級の公務に携わることになっても、その人民を愛することがなければ、ただの税金泥棒になってしまいます
学問を講じても、自分から何かを実行しなければ、それは口頭の禅と同じで何の役にも立ちません
大事業を起こしても、それが後世に残るような徳を広めることがなければ、目の前の花と同じではかないものとなります
転 別視点
人として意義深いことを行っても、それに心が伴わなければ、全く意味を持たないということです。
書籍を読んでも字面を追っているだけではダメで、その著者が何を考えて、世の中にどのような影響を与えたいかをじっくりと考察します。そして、書籍を深く洞察する人はリーダー的な存在の人が多いだろうから、自分の周囲の人を愛しなさい、と。学んだことは、机上の空論ではなく、自ら何かを実践しましょう。それは後世に徳を広めるようなことだと素晴らしい。
洪自誠さんは、より良い世の中になれば、という気持ちを込めてこの段落を書いたように感じました。
結 まとめ
書は深い洞察力を以て読み、官吏となれば人民を愛し、学を修めれば実行し、事業には徳を広める着眼を持つようにしたい。