起 原文
進徳修道 要個木石的念頭
若一有欣羨 便趨欲境
濟世經邦 要段雲水的趣味
若一有貧着 便堕危機
徳を進め道を修めるには、個の木石的の念頭を要す
若し一たび欣羨有れば、すなわち欲境に走る
世を救い邦を經するには、段の雲水的の趣味を要す
若し一たび貪着有れば、すなわち危機に堕ちん
欣羨(きんせん)、願い羨むこと;欲境、人欲の境界;雲水、行脚僧のこと、雲水坊主のように物に拘りなく淡泊な趣
承 意訳
徳を学び道を修めようとするならば、一個の木石のように確りとしてが外物のために容易に動かされない心が必要です。
若しも一たび他の富貴栄華を願い羨む心が生じれば、すぐに人欲の境界まで堕落します。
世を救い国家を経略しようとするならば、雲水坊主のように淡泊な趣味が必要です。
若しも一たび権勢富貴を貪り望めば、すぐに危機に陥り、身の破滅を招きます。
転 別視点
徳を学ぶとき、国を治めようとするとき、少しの心のゆるみが全てを台無しにします。
人は、他人には不思議と完璧を期待します。模範となる人、統治する人は少しでもその道からずれたことが判明すると非難ごうごうの状態となります。今の政治家をみていても、話にならない失言が多い人がいる反面、これくらいは政治家の資質には関係ないのでは、と思えるようなことで非難されていることもあります。
海外では許されるスキャンダルでも、日本では許されなかったり、その逆だったりと背景にある文化が善悪の程度の基準となります。でもその文化は流動的だったりもします。
流動的なものに身を任せて失脚するのはなんとなく納得できなかったりするのだろうと想像します。
結局は自分の信念こそが大切で、それに従って生きていくしかないということですね。
結 まとめ
徳の道を極めるには、動かない信念が必要です。国家を経略するには、富貴を望んではいけません。