前集044 自分鍛錬の「学問、道徳、読書」には一心不乱に取り組む

前集041-060

起 原文

學者 要収拾精神 併歸一路
如修徳而留意於事㓛名譽 必無實詣
讀書而寄興於吟咏風雅 定不深心

学者精神を収拾して、一路に併帰(へいき)せんことを要す
もし徳を修めて、意を事功名誉に留めなば、必ず実詣なし
書を読んで興を吟咏風雅に寄せなば、定めて深心ならざらん

併帰一路、一心不乱に専念すること;實詣、真実の造詣、真実の奥義に至ること;吟咏(ぎんえい)、漢詩や和歌などを独特の節回しで吟ずる芸能、詩吟

承 意訳

学問を志す者は、精神を集中させて一心不乱に一つの道を志す必要があります。

もしも道徳を修める者が、徒に事業や名誉に心留めたならば、間違えなく真実の奥義に至ることはありません。

書を読むということは、義理を悟りて徳性を涵養すべきですが、徒に吟咏風雅に心奪われていまうと、必ず軽薄な考えとなってしまいます。

転 別視点

菜根譚のかなりの部分に、極端はいまいちで、中庸を勧める文章が多いです。でもこの段落は、学問、道徳、読書と、自己鍛錬のために明らかに必須であるものに関しては、極端なくらい一心不乱に取り組むべきだと述べています。

周囲との折り合いが必要な事項については、中庸之道が推奨されますが、自己鍛錬に関することは極端なくらいの気持ちで取り組むことが推奨されています。

結 まとめ

自分を成長されるための学問、道徳、読書は、一心不乱なくらいに取り組むことが推奨されます。

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