起 原文
欲路上事 毋樂其便而姑為染指
一染指 便深入萬仭
理路上事 毋憚其難而稍為退歩
一退歩 便遠隔千山
欲路上の事は、その便を楽しんでしばらく指を染むるを為すことなかれ
一たび指を染むれば、すなわち深く万仭に入らん
理路上の事は、その難を憚って稍(やや)退歩を為すことなかれ
一たび退歩すれば、すなわち遠く千山を隔てん
万仭、極めて深いこと;理路、道理
承 意訳
情欲に関することは、誰でもこれを好むものですが、染まってはいけません。
一度情欲に染まったら、先千尋の谷の底まで落ちてしまいます。
道理の道に関することは、その実行が難しいからと言って、少しでも退いてはいけません。
一度退くようなことがあれば、千の山を越えるくらい大きく退いてしまいます。
転 別視点
情欲など道に反することは、少し染まってしまうだけで、あっという間に全身が広がります。正しい行いは、少しさぼってしまうとあっという間に縁がなくなるくらい離れてしまいます。悪い習慣にはそまりやすく、良い習慣はすぐになくなります。
身体に悪いお酒、高カロリー食、甘いものは、はまれば依存症に近い状態になりますが、粗食は一度離れると元に戻るにはハードルが高いです。人間は欲望に弱い生き物ですね。
結 まとめ
悪い習慣はすぐに身についてしまいます。一方で良い習慣はあっという間に離れてしまいます。常に自らを律して生活する必要があります。