起 原文
降魔者 先降自心
心伏則群魔退聴
馭横者 先馭此氣
氣平則外横不侵
魔を降す者は、先ず自心を降すべし
心伏すれば則ち群魔退くを聴く
横を馭する者は、先ずこの気を馭すべし
気平かなれば則ち外横侵さず
魔、人の善事を障害する悪魔のこと;馭す、ぎょす、制御する;横、道理に背いて横着すること
承 意訳
悪魔を降伏しようとするならば、先ず自分の心の魔をコントロールしないといけません。
自分の心の中の妄想や煩悩をコントロールできれば、群がりくる多くの魔も自ら退散して、自己本心は自由自在の状態となります。
横道(道理に背いた道)なものを制御しようとする者は、先ず自分の気質の性を制御しなければいけません。
自分の中にある横道の気を制御して自分の心の平安を保てたならば、外界からくる道理に背くようなことは一切なくなります。
転 別視点
悪いもの、道理に背いた悪い考えを正そうとするのならば、まずは自分の心の中の悪いもの、悪い考えを制御することが必須です。
外を正す前に、自らを正すことです。
「隗より始めよ(かいよりはじめよ)」とは、中国の戦国時代、隗 が燕の昭王に賢者の求め方を問われて、賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いよ、そうすれば自分よりすぐれた人物が自然に集まってくる、と答えたという話から生まれました。大きな事業、偉大な行動をするときは、身近にある小さなことからスタートします。
世界に正しい道を広めようとするならば、まずは自分を律することが重要です。自分の心の中は、小さな一歩というよりは大きな一歩なのかもしれませんが、重要なことには変わりありません。
結 まとめ
自分の心の中の妄想や煩悩をコントロールできれば、外からの悪いことは近づいてきません。自分の中にある横暴な気を制御できえれば、外界からくる道理に背くようなことはなくなります。