起 原文
利欲未盡害心 意見乃害心之蟊賊
聲色未必障道 聰明乃障道之藩屏
利欲は未だことごとく心を害せず、意見はすなわち心を害するの蟊賊なり
声色は未だ必ずしも道を障えず、聡明はすなわち道を障うるの藩屏なり
蟊賊(ぼうぞく)、蟊は穀物や草木の根を食べる害虫で、そのような悪者;聲色、声色、音楽や女色;藩屏、藩も屏も垣根で、四方の垣根のこと。
承 意訳
利欲の思いは余り良いものでありませんが、必ずしも自己の心を害するわけではありません。それよりも自分の間違った意見(正しくない見識)は己の心を害し道心を枯らす害虫のようなものです。
音楽や女色(娯楽一般の意味)は善いものとは言えませんが、修行の障害となるわけではありません。それよりも自分ばかり利口ぶる生半可な聡明さこそが道徳上の障害となります。
転 別視点
利益を求める気持ち、娯楽を楽しむ気持ちは、人としての本能の一部でもあり、通常の範囲であれば大きな問題ありとはなりません。しかしながら、自己中心的で、自惚れる態度は道を誤ることにつながります。
正しくない意見、正しくない情報を当たり前のように広める人、自分はいかにも頭が良いという口調、文調の人、ときとき出会います。そのような態度は自分だけでなく、周囲の人をも不快にさせます。
防衛策は距離を置くのが一番なのですが、洪自誠さんもイラっとしたことがあるようです。
結 まとめ
利益を求める気持ち、娯楽を楽しむ気持ちは、通常の範囲であれば問題ありません。しかしながら、間違った見識、自惚れの態度は道を誤ることにつながります。