起 原文
釋氏随縁 吾儒素位
四字是渡海的浮嚢
葢世路茫茫 一念求全 則萬緒紛起
随寓而安 則無入不得矣
釈氏の随縁、吾が儒の素位
四字は是れ渡海的の浮嚢なり
蓋し、世路茫々たり、一念全きを求むれば、則ち萬緒紛起す
寓に随いて安んぜば、則ち入るとして得ざること無し
随縁(ずいえん)、縁に従うこと。縁に従って種々の相を生じること;素位(そい)、その地位にそい、甘んじること;茫々(ぼうぼう)、広々としてはるかなさま;
承 意訳
釈尊の随縁(縁に従うこと)、吾が儒教の素位(あるがままの地位)
この四字は海を渡るときの浮袋のようなものです
思うに、行く道ははるかに広いのに、少しでも完璧を求めれば、様々な欲念が生じます
たまたま存在する現在の状態に安心すれば、どこに行っても不安になることはない
転 別視点
完璧を求めれば、その道は際限がなく、どこにたどり着いても欲望が満たされることはありません
そして人生は不安と焦りで満たされます
現状に満足することができれば、どこに行っても満足できるので、人生は満ち足りたものになります
結 まとめ
足るを知る、ということです
これが、菜根譚の最後の一言となり、一番強調したいことだったのかもしれません