起 原文
山肴不受世間潅漑 野禽不受世間拳養 其味皆香而且冽
吾人能不為世法所點染 其臭味不迥然別乎
山肴は世間の潅漑を受けず、野禽は世間の拳養を受けず、其の味皆香しくして且つ冽なり
吾人能く世法に点染せられざれば、其の臭味、迥然として別ならずや
潅漑(かんがい)、人工的な給水や排水;拳養(けんよう)、養い;冽(れつ)、寒い、冷たい、キリリとしている;世法(せほう)、俗世の価値観;迥然(けいぜん)、格別に、はるかに
承 意訳
山菜も、野鳥も、人間の世話を受けずに育ち、その味は香ばしく、味も際立ちます
私たち人間も、俗世の価値観に染まらなければ、その人間としての格式ははるかに別格となります
転 別視点
自然の法則に従い、人間の係りを減らせれば、個性的な味わい深いものになります
人間の集団の中で揉まれ続けると人当たりは良くても、なんだかつまらない人間になります
若い間に寮生活で揉まれたような人は、人間関係の形成はうまくなりますが、突出した要素を持ちにくい環境で育っていると言えるのかもしれません
結 まとめ
俗世間の価値観を周囲に押し付けることなく、個性を育てるような教育が興味深い人間を育てます