起 原文
人心多従動処失真
若一念不生 澄然静坐
雲興而悠然共逝 雨滴而冷然倶清
鳥啼而欣然有會 花落而瀟然自得
何地非真境 何物無真機
人心多く動処より真を失ふ
若し一念生ぜず、澄然として静坐せば
雲興って悠然として共に逝き、雨滴りて冷然として倶に清く
鳥啼いて欣然として会する有り、花落ちて瀟然として自得す
何れの地か真境に非れば、何れの物か真機無からん
動処(どうしょ)、動揺しているとき;一念(いちねん)、少し考えること;澄然(ちょうぜん)、心を澄ますさま;欣然(きんぜん)、喜んで何かをするさま;瀟然(しょうぜん)、さっぱりと、さらりと
承 意訳
人間の心は動揺するとその真の姿を見失う
もしもなにも考えずに、心を澄まして静かに座すれば
雲が浮かんでは心は共に流れ、雨が滴れば心は清らかに流される
鳥が鳴けば喜び、花が落ちればさらりと悟りを得る
どこでも真理の道は開けており、真理に通じる物ばかりである
転 別視点
人間のあるべき姿を追求するのに、山林に隠居する必要はなく、日常の中に真理を理解するヒントは存在します
周囲に流されて生きるばかりではなく、自分の心を澄まして自分主体で物事を考察すれば、真理を悟ることができます
山林の静かな環境は、それを手助けしてくれる環境なのかもしれませんが、現代人にはなかなかそれを手に入れることは困難です
結 まとめ
周囲に気を遣うばかりではなく、心を澄まして、自分の心の真理を考察しながら、主体的に物事を考察していく。