起 原文
田父野叟
語以黄鶏白酒 則欣然喜 問以鼎養食 則不知
語以藥袍裋褐 則油然樂 問以袞服 則不識
其天全 故其欲淡 此是人生第一個境界
田父野叟は
語るに黄鶏白酒を以ってすれば、則ち欣然として喜び、問うに鼎養を以ってすれば、則ち知らず
語るに藥袍裋褐を以ってすれば、則ち油然として楽しみ、問うに袞服を以ってすれば、則ち識らず
その天は全し、故に其欲淡し。此は是れ人生第一個の境界なり
田父野叟(でんぷやそう)、田舎の百姓おやじ;黄鶏白酒(おうけいはくしゅ)、羽色が茶褐色の鶏、にごり酒;欣然(きんぜん)、よろこんで物事をするさま;鼎養(ていよう)、貴人のごちそう;藥袍裋褐(おんぽじゅかつ)、どてら(着物の上にはおるもの)と厚司(あつし);袞服(こんぷく)、高位高官の礼服;第一個(だいいっこ)、最高の
承 意訳
田舎の百姓おやじに関して
かしわ肉やにごり酒の話をすれば、楽しそうに会話をするが、貴人のごちそうを尋ねると知らない
どてらや厚司のような質素な着物の話をすれば、ゆったりと会話を楽しむが、貴人の礼服を尋ねると知らない
天性は完全で、欲は少ない、これこそが人生で最高の環境です
転 別視点
人間は、社会とともに生きる生き物なので、社会の状況を良く知ることは、豊かな人生を作ります。
でも、欲は欲を際限なく産み出します。小さな欲に接すると大きな欲が生れます。
つまらない、人生にとって重要ではない事象に関しては、知らなかったこととすれば、心情的に容易に横においておくことができます。知らないことにしておくか、と割り切った考え方ができれば良いですね。
結 まとめ
つまらない、人生にとって重要ではない事象に関しては、知らなかったこととして横においておく、割り切った考え方が必要ということです。