前集026 情欲に従って行動する際、その結果を考慮して慎重に

前集021-040

起 原文

飽後思味 則濃淡之境都消 色後思婬 則男女之見盡絶
故人常以事後之悔悟 破臨事之痴迷 則性定而動無不正

飽後に味を思えば、則ち濃淡の境すべて消え、色後に婬を思えば、則ち男女の見悉く絶ゆ
故に人常に事後の悔悟を以て、臨事の痴迷を破らば、則ち性定まって動正しからざるは無し

承 意訳

お腹いっぱいに食べた後で、どんな味だったかと考えてみても、美味しい、不味いということ全てよくわからなくなっています。色事の後で、淫欲を思ったとしても、満足した後は男女間の情交に関する考えはなくなってしまっています。

このように全ての欲情は、一旦快楽を貪って満足した後では何らの興味も起こらず、後悔の念を抱きがちです。何かをしようとするときはまずその「後悔の念」を思い出し、情欲妄心を打破します。そうすれば、正しい道を歩むことができます。

転 別視点

いろいろなことに突っ走る前に、その行動の結果を思い浮かべてみましょうという内容です。特に感情的に制御しにくい、性欲と食欲を例に挙げているので、理解しやすくなっています。

人間の生理的欲求には、更に「睡眠欲」があります。これに関しても、よく眠り目が覚めた後には「ゆっくりと寝たい」という気持ちは消え失せます。「一夜漬けが必要な試験の前日に寝てしまった・・・」という後悔の念を洪自誠は暗に示しているのかも、と勝手に想像してしまいます。

結 まとめ

情欲に従って行動しそうなときは、その行動の結果を考慮してから慎重に行動に移しましょう。

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