起 原文
幽人清事総在自適
故酒以不勧為歓 棋以不浄為勝
笛以無腔為適 琴以無絃為髙
會以不期約為真率 客以不迎送為坦夷
若一牽文泥迹 便落塵世苦海矣
幽人の清事は総て自適に在り
故に酒は勧めざるを以って歓と為し、棋は争わざるを以って勝と為す
笛は無腔を以って適と為し、琴は無絃を以って高しと為す
會は期約せざるを以って真率と為し、客は迎送せざるを以って坦夷と為す
若し一たび文に牽かれ、迹に泥まば、便ち塵世の苦海に落つ
幽人(ゆうじん)、閑静に暮らしている人、隠者;棋(き)、囲碁;真率(しんそつ)、正直でかざりけのないこと、真摯;坦夷(たんい)、ありのまま、気楽なこと;泥(なず)む、こだわる、執着する;
承 意訳
山林に住む隠者の風流は、全て悠々自適にすることにあります
そのため、お酒は勧めないことによって歓びとし、囲碁は争わないことで勝ちとします
笛は指孔が無い状態が快適で、琴は弦が無い状態が高尚です
心の中で音楽を奏でることが風情をもたらします
会合は日時を決めない方がさっぱりとしており、お客さんには送迎しないであるがままが気楽です
一たび形式に注目し、それにこだわると、俗世の苦しみに嵌ってしまう
転 別視点
悠々自適に過ごすことは風情のあることです。自分がそう過ごすには、周囲に人間関係においても、どうように悠々自適に接したいですね。
現代の日本人は、時間にしばられ、規則規則の世の中に生きています。楽器は常にメインテナンスしています。対極の世界に住んでいる印象です。
結 まとめ
人生に疲れたときは、悠々自適に過ごしたいです。時間に追われる生活が長いと、心が折れそうになります。自分にも、周囲にも、悠々と接したいです。