起 原文
人情聴鶯啼則喜 聞蛙鳴則厭
見花則思培之 遇草則欲去之
但是以形氣用事
若以性天視之 何者非自鳴其天機 非自暢其生意也
人情は、鴬の啼くを聴けば則ち喜び、蛙の鳴くを聞けば則ち厭う
花を見れば則ち之れを培わんことを思い、草に遇えば則ち之を去らんと欲す
倶に是れ形気を以て事を用うるのみ
若し性天を以て之れを視れば、何者か、自から其の天機を鳴らすに非ず、自から其の生意を暢ぶるに非ざらん
形気(けいき)、形体気質、外面的なもの;性天(せいてん)、天性、内面的なもの;天機(てんき)、天の働き、大自然の摂理
承 意訳
人の情けとはおかしなもので、鶯が鳴けば喜び、カエルが鳴くと嫌になる
花をみれば栽培したくなり、雑草をみれば除草したくなる
これはまさに外見にとらわれている
物事の本質をみれば、鶯もカエルも大自然の摂理に従って鳴いており、花も草も大自然のかけがえのない生き物として生を受けている
転 別視点
自分の価値観は、大自然の中においては想像以上に不自然であることを自覚する必要がある
不自然な価値観で、思い悩むことは全くおかしなものです
結 まとめ
自分の価値観が大自然の流れの中で自然なものなのかをときどき確認してみたい