起 原文
袞冕行中 着一藜杖的山人 便増一段髙風
漁樵路上 著一袞衣的朝士 転添許多俗氣
固知濃不勝淡 俗不如雅也
袞冕の行中に、一の藜杖的の山人を着くれば、便ち一段の高風を増す
漁樵の路上に、一の袞衣の朝士を著くれば、転た許多の俗気を添う
固に知る、濃は淡に勝らず、俗は雅に如かざることを
袞冕(こんべん)、高位高官たち、袞は高位高官の礼服、冕はその礼帽;藜杖(れいじょう)、あかざの杖;漁樵(ぎょしょう)、漁業の仕事と、きこりの仕事;袞衣(こんい)、礼服;許多(きょた)、数が多いこと
承 意訳
高位高官の行列の中に、一人のあかざの杖をついた山林に住む隠士を混じえると、一段高い高尚な趣きを増します
逆に、質素な服装の漁師や木こりの往来する路上に、一人の礼服を着た役人が混じれば、多くの俗気を伴います
この例からわかることとして、濃厚なことは淡泊なことに及ばないし、世俗なものは高雅なものには及ばない
転 別視点
この世の本質であるものこそが輝くのであって、華美な飾りや濃厚な強調は本質の輝きを減じてしまいます
結 まとめ
シンプルで物事の本質を表現しているものこそが美しく光り輝きます