前集224 一時の華やかさよりも、継続する地道さ

前集221-225

起 原文

桃李雖艶 何如松蒼栢翠之堅貞
梨杏雖甘 何如橙黄橘緑之馨冽
信乎 濃夭不及淡久 早秀不如晩成也

桃李は艶なりと雖も、何ぞ松蒼栢翠の堅貞なるに如かん
梨杏は甘しと雖も、何ぞ橙黄橘緑の馨冽なるに如かん
信なるかな、濃夭は淡久に及ばず、早秀は晩成するに如かざるなり

桃李(とうり)、桃の花とすももの花;松蒼栢翠(しょうそうはくすい)、松も柏も寒気にあっても緑を変えない操志の固いこと;堅貞、丈夫で変化しないこと;梨杏(りきょう)、ナシや杏の甘みのある実;橙黄橘緑(とうおうきつりょく)、だいだい(橙)が黄色くなり、みかん(橘)が緑色になるころ;馨冽(けいれつ)、香り高くて芳しい;濃夭(のうよう)、細やかにして早く散る

承 意訳

見た目が美しい桃やスモモの花と言えども、松や柏が年間を通して変わらぬ緑であることにはかないません

ナシや杏の甘い実と言えども、黄色いだいだいや緑のミカンの香り高さにはかないません

このように、艶やかで早く散るものよりは淡泊であっても久しく継続するものには及ばないし、早熟なものは晩成のものに及びません

転 別視点

一瞬一瞬の華やかさを見るのではなく、長期的な経過を眺めて熟成された奥深さの方が物事には重要なことが多いです。

植物では、1年で命を終えるものは根が浅く、花は艶やかだったりします。根が深く、成熟までに多くの年数が必要な樹は、花が咲くまで何年もの時を必要とします。ユズは、結実までの期間が長いことと根が深いことで知られています。

結 まとめ

一時の華やかさよりも、継続する地道さに価値を見出したい。

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