起 原文
儉美徳也
過則為慳吝 為鄙嗇 反傷雅道
譲懿行也
過則為足恭 為曲謹 多出機心
倹は美徳なり
過ぐれば則ち慳吝となり、鄙嗇となり、反って雅道を傷る
譲は懿行なり
過ぐれば則ち足恭となり、曲謹となり、多くは機心に出づ
慳吝(けんりん)、欲が深くて、けちであること;鄙嗇(ほしょう)、卑しい、惜しむ;懿行(いこう)、素晴らしい行い;足恭(すうきょう)、うやうやしさの度が過ぎること;曲謹(きょっきん)、どうでもいいようなことまで念入りにすること;機心(きしん)、企む心
承 意訳
倹約は美徳です
しかしながら倹約が過ぎるとけち臭くなり、卑しくなり、返って道理から外れてしまいます
謙虚さは素晴らしいです
しかしながら謙虚が過ぎると堅苦しくなり、細かくなり、返って裏があると誤解されます
転 別視点
倹約も、謙虚な姿勢も、極端に走るとあらぬ方向に解釈されますし、自分自身も本来の目的を見失います。どんなに理想とする方向であっても、適宜におさめる姿勢が処世術としては適切なのかもしれないという考えです。
「人の話を聞く力」をとても強調する総理大臣(岸田文雄氏)が2021年に就任しましたが、ある程度聞くことは重要ですが、何から何まで全て聞くと政治になりません。人の話を聞くことであっても”適宜”が良いのかもしれません。
結 まとめ
倹約も、謙虚な姿勢も、極端に走るとあらぬ方向に向かいます。適宜な程度にするのが重要です。