前集196 独りよがりな指導ではなく、人々が馴染みやすい中庸の指導を考慮

前集181-200

起 原文

山之髙峻處無木 而谿谷廻環 則草木叢生
水之湍急處無魚 而渕潭停蓄 則魚鼈聚集
此髙絶之行 褊急之衷 君子重有戒焉

山の高峻なる処には木無し、而して谿谷廻環すれば、草木叢生す
水の湍急なる処には魚無し、而して渕潭停蓄すれば、魚鼈聚集す
此の高絶の行、褊急の衷は、君子、重く戒むる有り

谿谷廻環(けいこくかいかん)、川が回り巡ること;湍急(たんきゅう)、水の瀬が早くて急なこと;渕潭停蓄(えんたんていちく)、水が深くて溜まった部分、とどまって溜まっているところ;魚鼈聚集(ぎょべつしゅうしゅう)、鼈=亀=すっぽん、魚とすっぽんが集まること;高絶(こうぜつ)、通常よりも優れすぎて高尚過ぎること;褊急(へんきゅう)、片意地で急激なこと;衷(ちゅう)、精神、心

承 意訳

山が高く険しいところには木は生えませんが、谷川が巡る緩やかな傾斜地には草木が生育します

川でも流れの速いところには魚は住みませんが、水が深くて留まるところには魚もすっぽんも集まります

指導者たるものは、極端に高尚な行いや片意地を張った考えは、人々にはついて行けないので戒めるべきです

転 別視点

人を指導するときは、あまりに高き理想を示しても誰もついてきません。その人が馴染みやすい環境を作り、その中でどうあるべきかを考えて、指導します。

結 まとめ

君子たるものは、(理想は高いくても)極端な指導はやめて、中庸に根差した指導法で人々を導くようにしましょう。

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