起 原文
忙裡要偸閒 須先向閒時討個欛柄
閙中要取静 須先従静處立個主宰
不然 未有不因境而遷 随事而靡者
忙裡に閒を偸まんを要せば、須く先ず閒事に向って個の欛柄を討ぬべし
閙中に静を取らんと要せば、須らく先ず静処より個の主宰に立つべし
然らざれば、未だ境に困って遷り、事に随って靡かざる者有らず
閒(かん)、閑、静けさ;偸(ぬす)む、盗む;欛柄(はへい)、刀のつか。 取っ手、とっかかり;閙中(どうちゅう)、道中、旅の途中
承 意訳
忙しいときに「閑」を求めるときは、まず時間のあるときに「閑」のとっかかりを学ぶべきです
騒がしいところで「静」を求めるならば、まず静かな環境のときに主体性を確立するように努めます
そうしなければ、外からの誘惑に心が移ろい、靡いてしまい、「閑」や「静」を得ることはできません
転 別視点
「閑」や「静」は、心の中の平和と解釈できます。心の中が穏やかで平和であるためには、ゆったりとしたときに、何が自分にとっての「閑」なのか、を十分に考慮します。同時に外界からの刺激に動じない主体性がなければ、心は誘惑されふわふわとなり、落ち着くことはありません。
自分の価値観をしっかりと見定め、腹を決める、ということです。
結 まとめ
心を平安を得るには、常日頃からの心構えの準備が必要です。余裕のあるときに自分の価値観を考慮して、腹を決めて物事を達観するようにします。