起 原文
完名美節 不宜獨任
分些與人 可以遠害全身
辱行汚名 不宜全推
引些歸己 可以韞光養徳
完名美節は宜しく独りに任ずべからず
些を分って人に与えて、以て害を遠け身を全うすべし
辱行汚名は宜しく全く推すべからず
些を引いて己に帰し、以て光をつつみ徳を養うべし
些(さ)、いささか、わづか
承 意訳
立派な名誉や手柄は、一人占めしてはいけません。
必ず助けてくれた人がいるはずで、手柄を独占したならば不平が生じ、怨嗟にて害が及ぶようになります。
恥ずかしい行為や悪い評判は、全て他人に押し付けてはいけません。
多少なりとも、その責任を引き受けないと、やはり他人からの恨みを買います。
他人が嫌う辱行汚名は自分に引き寄せて心の光を包み徳を養い、名誉功労はこれを別のところに隠して心の内面の道徳を涵養すべきでしょう。
転 別視点
世の中をうまく渡るには、いくつもの処世術がありますが、今回は「他人の恨みを買わない」ことが述べられています。他人から好かれるためにいろいろとしてもうまく行かないことがあります。しかしながら、恨みを買わないためには少々の気づかいだけでも効果的なので、実行した方が良さそうです。
結 まとめ
名誉・手柄は独占せずに仲間と分かち合います。不名誉なことは自分にも一端の責任があることを明確にし、怨嗟を買わないように気をつけます。