起 原文
遇故旧之交 意氣要愈新
處隠微之事 心迹宜愈顕
待衰朽之人 恩禮當愈隆
故旧の交に遇はば、意気愈新たなるを要す
隠微の事に処しては、心迹宜しく愈顕はるべし
衰朽の人に待するは、恩礼当に愈隆なるべし
心迹(しんせき)、心の持ち方
承 意訳
古い友人に会ったときは、意気投合して盛り上がるのがよろしい。新しく知り合う人と意気投合することも大切ですが、旧知を十分に温めることも同様に大切です。
周囲から見えないところで何かをする場合は、誰がみても公明正大であるような心持ちで対応するのがよろしい。細かい部分がいい加減なのは、ほころびの元となります。
引退された老人をもてなすには、恩愛も礼儀も十分に尽くすべきです。過去の行いには敬意を示すべきで、そう心がけないと粗雑になりがちです。
転 別視点
ぼんやりと過ごしていると、旧友や老人をぞんざいに扱ったり、隠れたところではなんでもありのような行いになったりします。気持ちがいい加減になりそうなときほど、しっかりと対応することが大切です。
徒然草の「高名の木登り」の話を思い出します。木登りの名人は、人を指図して高い木に登らせて梢を切らせますが、軒の高さくらいに降りてきた時点で「過ちすな。心して降りよ。」と声を掛けます。これは、誰もが注意すべきタイミングでは声をかける必要はなく、油断しがちなときに声を掛けます。
洪自誠さんも趣旨は同じことを述べています。そして、良好な人間関係につながる要素も含ませます。
結 まとめ
本当に大切なものには気づきにくい。旧友の存在、隠れた善行、人生の先輩の重要性に気づき、過剰なくらいに大切にすべきです。