起 原文
交市人不如友山翁
謁朱門不如親白屋
聴街談巷語 不如聞樵歌牧詠
談今人失徳過挙 不如述古人嘉言懿行
市人に交わるは、山翁を友とするに如かず
朱門に謁するは、白屋に親しむに如かず
街談巷語を聴くは、樵歌牧詠を聞くに如かず
今人の失徳過挙を談ずるは、古人の嘉言懿行を述ぶるに如かず
市人(しじん)、市中の人、商人;山翁(さんおう)、山中に住む翁、木こりのような純朴な老人;朱門(しゅもん)、高貴な人;白屋(はくおく)、粗末な家;街談巷語(がいだんこうご)、市中の噂話;樵歌牧詠(しょうかぼくえい)、牧童の歌;失徳過挙(しっとくかきょ)、不徳や過失;嘉言懿行(かげんいこう)、立派な言葉や道理にかなった行動
承 意訳
利益ばかりを考えている商人と付き合うよりは、山中に住む純朴な老人を友達にした方が心穏やかになります
高貴な人に拝謁しに行くよりは、質素な家に住んでいる人と楽しくする方が人生を楽しめます
市中のくだらない噂話を聞くよりは、牧童の歌を聴く方が心が美しくなります
最近の人の失敗話を談笑するよりは、昔の人の立派な行動を討論した方が心の成長につながります
転 別視点
4つの文章はそれぞれが異なるテーマを述べているようですが、洪自誠さんがわかりやすい例を挙げて、心の安定と成長のためのエッセンスをまとめています。
言葉と行動は自分を作ると言います。
自分の成長につながらないストレスを感じる行動は、さっさかやめてしまった方が、心穏やかになります。経済的な利益を求めて、お金持ちに胡麻をする行動は(必要なこともあるのかもしれませんが)基本的にはみっともない行動です。
いじめ問題は、”知っていて見過ごす”こと自体がいじめの一環とも解釈されます。噂話も同じです。他人を傷つける噂話はその輪に入るだけで、他人を傷つけ、その矛先は最終的には自分に向かってきます。
結 まとめ
私利私欲の人と接すると自分も私利私欲の人になってしまいます。他人を傷つける噂話をすることは、知らず知らずに自分の心が汚れてしまいます。私利私欲の人や他人を傷つける噂話からは距離を置くようにしたいです。