起 原文
父慈子孝 兄友弟恭
縦做倒極處 倶是合當如此
着不得一毫感激的念頭
如施者任徳 受者懐恩 便是路人 便成市道矣
父は慈、子は孝、兄は友、弟は恭
縦ひ極処に做し到るも、倶に是れ、合に此の如くなるべくし
一毫の感激的の念頭も着け得ず
如し施す者は徳に任じ、受くる者は恩を懐はば、便ち是れ路人にして、便ち市道と成らん
路人、通行人、利害関係のない人;市道、 商売の道。利益の追求をもっぱらにする商人の道。
承 意訳
父は子を慈しみ、子は父に親孝行をする、兄は弟に友愛を示し、弟は兄に恭しくする
そんなことは当たり前のことであり、感激するようなものではありません
もしもそれを実践した側が満足感を持ったり、受けた側が感謝するようなことがあったら、それは家族とは言いにくい他人行儀の関係となり、利益を追求するような間柄に近い状態と言えます
転 別視点
中国の家族関係は、日本の家族関係よりも濃厚と言われています。
中国の場合は子どもが大学を卒業したら、子どものために仕事を探し、ふさわしい結婚相手を探し、子どもに家を買い与え、孫が生まれると、子どもに代わって孫を育てる責任が待っていると言われています。
世界の中で、華僑の人々が結束の強いコミュニティを作り、他のコミュニティに対して経済的に優位な集団を上手に作っていくことができるのは、この段落に述べられているような古代から継続する「家族=非常に強い結束力を持った集団」という考え方の賜物なのかもしれません。
結 まとめ
家族の間柄では、遠慮や感謝の念は不要です。家族とは、利害関係を超越した集団なのです。