起 原文
炎涼之態 冨貴更甚於貧賎
妬忌之心 骨肉尤狠於外人
此處若不當以冷腸 御以平氣 鮮不日坐煩悩障中矣
炎涼の態、富貴は更に貧賎より甚し
妬忌の心は、骨肉尤も外人より狠し
此この処、若し当たるに冷腸を以てし、御するに平気を以てせざれば、日に煩悩障の中に坐せざること鮮なからん
妬忌(とき)、やきもちをやくこと;狠し(はなはだし)、激しく怒って.ぷんぷんすること;冷腸、思いやりのないこと、冷静な心;煩悩障(ぼんのうしょう)、身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働き(汚れ)
承 意訳
人の心の移り変わりは、貧しい人よりは、富んだ人に対する方が甚だしい
やきもちを焼く気持ちは、肉親の方がそうでない人よりも激しい
そんな理由で、常に冷静に対応し、虚心平気な心を持っていないと、落ち着かない日々を過ごすことになります
転 別視点
妻や夫の”何気ない一言”、この一言が赤の他人であったのならば、恐らく気にも留めなかったであろう一言も、それが身近な立場で「自分のことを心底理解していると期待している人」から言われると、どうしても納得できない気持ちになります。
これは、身近な人には「自分を理解してほしい」期待があるが故の感情です。配偶者に期待していない人生は寂しい反面、過剰な期待は人間関係のもつれに直結します。お互いに同じ程度の期待レベルならばそれほど自体は悪化しませんが、ストーカーのように愛情が一方通行の場合は、それが裏切られたと感じたときには凶悪事件に発展する可能性があります。知人関係の殺人事件には、このような要素が含まれていることが多いと感じます。
結 まとめ
高貴な人、身近な人には、過剰な期待をしてはいけません。また逆に身近な人との人間関係には大きくもつれる可能性があり、冷静に対処する必要があります。