起 原文
生長冨貴叢中的 嗜欲如猛火 權勢似烈焔
若不帯些清冷氣味 其火焔不至焚人 必将自爍矣
富貴叢中に生長する的は、嗜欲は猛火の如く、権勢は烈焔に似たり
もしその清冷の気味を帯びざれば、その火焔、人を焼くに至らざれば、必ずや将に自らを焼かんとす
富貴叢中、富貴の中、叢は集まるの意味で、金満家;的(もの)、特定の人を表す;気味、意図、趣
承 意訳
お金持ちの富貴の中で育った者は、欲望は猛火のようで、権勢への執着は烈火のようです
そのために清々しい趣を少しも持っていなかったとすれば、その私欲権勢の欲望は周囲の人を焼き殺すに至らなければ、必ずや自分を焼き殺すに至るものです
お金持ちや権力を持った家系のボンボンの欲望は、果てしなく、周囲に大きな被害を及ぼします。仮にそうならなければ、自滅します。
転 別視点
この段落を読んで思い出すのは、一代で築いた大企業の社長とその息子だったり、大物政治家の二世議員です。父親が大物だと、その子供は自分とは関係のない世間からの期待を背負い、上手に世渡りしにくという面があるとは想像します。しかし、一方では「欲望は果てしない」という要素もあるのかもしれません。
洪自誠さんは、壮年以降に出世コースを外れたとされていますが、お金持ちの子弟の振る舞いに大きな憤りを感じたのでしょう。
でも全てのボンボンがダメというわけではなく、清い心を持っていれば大丈夫とも書いています。結局は、育った環境と同時に子供への教育が重要ということかもしれません。
結 まとめ
お金持ちの富貴の中で育った者は、桁はずれの欲望を持つことがあります。清貧の心を持ち合わせるようにしないと、結局は自滅します。