起 原文
心不可不虗虗則義理来居
心不可不實實則物欲不入
心虚ならざるべからず、虚なれば則ち義理来り居る
心実ならざるべからず、実なれば則ち物欲入らず
虚、むなしいこと、空虚なこと、邪心をなくした状態
承 意訳
人の心というものは、虚にしておかねばならない、空虚(無)にしておけば正しい道理は自然と心の中に入ってきます
人の心の中には、常に正義の観念で充実しておかねばならない、充実していれば物欲が乱入してくることはありません
転 別視点
前行では、心は何事をも受け入れる準備が必要と説き、後行では、何事をも侵入できないようにしておくと説いています。一見矛盾するような感覚になります。
心の入れものは、押し入れとは異なり、一見有限で、実際は無限です。洪自誠さんの現代語訳は上記のようであっても、本当の意図は「正しい道理には常に心を開き、物欲に対しては正義の観念を以てそれを受け入れないように」と解釈できます。
少しだけ比喩を使って趣を出したと考えられます。
結 まとめ
正しい道理には常に心を開き受け入れましょう。物欲に対しては正義の観念を以てそれを受け入れないようにしましょう。