起 原文
冨貴名譽 自道徳来者 如山林中花 自是舒徐繁衍
自㓛業来者 如盆檻中花 便有遷徙癈興
若以權力得者 如瓶鉢中花 其根不植 其萎可立而待矣
富貴名誉の、道徳より来る者は、山林中の花の如し、自ら是れ徐々繁栄す
功業より来る者は、盆監中の花の如し、すなわち遷徙廃興有り
もし権力を以て得る者は、瓶鉢中の花の如し、其の根植えざれば、その萎むこと立って待つべし
遷徙(せんし)、移ること;廃興(はいこう)、廃れることと盛んになること
承 意訳
富貴名誉というものは、何人も之を望むところですが、その結果に差異を生じます。
道徳より来るものは、大自然の山林中の花の如しで、その根は深くだんだんと茂っていきます。
功績によって得たものは、盆栽の花のようです。その根は浅く移動することができます。従って廃れたり、栄えたりどちらにも転びうる状態と言えます。
権勢によって理不尽に得たものは、花瓶の中の花のようで根がありません。廃れるのは時間の問題です。
転 別視点
この発想は現代でも全く同じだと感じています。長く富貴名誉の状態が続くには周囲がどのように感じているか、という要素が大きいです。
道徳によって得た富貴名誉は、始めから周囲の人々によって作られた状態なので更に発展していきます。事業によって得た富貴名誉は、その人の対応次第で発展することもあれば、衰退することもあります。一方で権力によって得た富貴名誉は、当初から周囲の反感をかっている状態であり、必ず衰退していきます。
自己の繁栄は、周囲の繁栄と並行します。
結 まとめ
富貴名誉は、「人の役に立つ」というような道徳心を持って得たものが素晴らしい。