起 原文
寧守渾噩而黜聰明 留些正氣還天地
寧謝紛華而甘澹泊 遺個清名在乾坤
寧ろ渾噩を守りて聡明を退け、その正気を留めて天地に還せ。
寧ろ粉華を謝して淡泊に甘んじ、個の清名を遺して乾坤に在け。
渾噩(こんがく)、朴訥にして飾り気のないこと;粉華、物が多く華やかなこと;乾坤、天地
承 意訳
聡明は正義を損なうものであるから、人は寧ろ朴訥にして厳粛を守り、聡明と利口ぶることを辞め、その心には天地正大を気に留め、死ぬときにはそれを天地に還さねばならない。
紛々たる華美は、人の精神を汚し易いものであるから、寧ろこれを拒否して受け付けず、あっさりとした淡泊な一生に甘んじて、死後には精錬潔白な名を遺すような心がけがないといけません。
転 別視点
ごにょごにょした俗世のことには気に掛けることなく、後世に精錬潔白な名前を残るような潔い生き方を強く勧めています。
現世を気に留めず、来世を気に留めるという考えは、現世には生きがいを見出せないために来世に心を集中させるといういかにも宗教的です。
でも本当の趣旨は、来世ではなく、現世を心の負担なく楽しく生きるということであることは、他の文章からは明白です。無駄な虚勢は辞めて、素直で楽しい時間を過ごすように勧められています。
結 まとめ
俗世に自分の聡明さを駆使することは辞めて、朴訥にして厳粛を守ります。華美は、なるべくこれを拒否して、淡泊な一生に甘んじて、死後には精錬潔白な名を遺すような心がけがないといけません。