後集134 足るを知る

後集121-134

起 原文

釋氏随縁 吾儒素位
四字是渡海的浮嚢
葢世路茫茫 一念求全 則萬緒紛起
随寓而安 則無入不得矣

釈氏の随縁、吾が儒の素位
四字は是れ渡海的の浮嚢なり
蓋し、世路茫々たり、一念全きを求むれば、則ち萬緒紛起す
寓に随いて安んぜば、則ち入るとして得ざること無し

随縁(ずいえん)、縁に従うこと。縁に従って種々の相を生じること;素位(そい)、その地位にそい、甘んじること;茫々(ぼうぼう)、広々としてはるかなさま;

承 意訳

釈尊の随縁(縁に従うこと)、吾が儒教の素位(あるがままの地位)

この四字は海を渡るときの浮袋のようなものです

思うに、行く道ははるかに広いのに、少しでも完璧を求めれば、様々な欲念が生じます

たまたま存在する現在の状態に安心すれば、どこに行っても不安になることはない

転 別視点

完璧を求めれば、その道は際限がなく、どこにたどり着いても欲望が満たされることはありません

そして人生は不安と焦りで満たされます

現状に満足することができれば、どこに行っても満足できるので、人生は満ち足りたものになります

結 まとめ

足るを知る、ということです

これが、菜根譚の最後の一言となり、一番強調したいことだったのかもしれません

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