前集143 「利益には近づき、不利益には離れる」これが一般的な人情です

前集141-160

起 原文

饑則附 飽則颺 燠則趨 寒則棄
人情通患也

饑うれば則ち附き、飽けば則ち颺り 燠なれば則ち趨り、寒ければ則ち棄つ
人情の通患なり

附く、ある物・人と触れる、または離れない状態になる;颺(あが)る、ひるがえる;燠(あたたか)、暖か、赤くおこった炭火;趨(はし)り、目的に向かって走る;通患(つうかん)、一般に共通してみられる心配や弊害

承 意訳

飢えているときは近づいてくるし、満ち足りているときは去っていく

懐が暖かいときには走って寄って来るが、懐が寒いときには足を向けない

これが一般的な人情の弊害です

転 別視点

人間というのは現金なもので、自分の利益になるようだとそれに近づき、利益にならないとわかると距離を置きます。これが人間のサガです。

恩恵を与えた他人から、冷たい仕打ちを受けたとしても、「人間のサガ」を理解していれば腹も立ちません。その他人は、本能に従って行動しているだけだと理解できるからです。

本能で行動している他人に対して、理性を述べたところで、効果を発揮する可能性は低そうです。そのような人物だったと納得するのが良さそうです。

結 まとめ

人間とは、自分の利益になるようだとそれに近づき、利益にならないとわかると距離を置きます。これが一般的な人情の弊害です。

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